「文化資本と社会関係資本の循環」エドノミーラジオ亀岡編・振り返り 配信
- On 2025年7月18日
これまで6回にわたって続いたエドノミーラジオ亀岡編。
最終回は振り返りの回として、歴史・文化・社会デザインについて。
「文化」「歴史」「神話」そして「実践」が重なり合う町・亀岡。最終回では、これまでの内容を総括しつつ、地域の未来をデザインするためのヒントが語られました。
🔍 今回の見どころ(聞きどころ)
- 現代にまで受け継がれる、角倉了以の志
- 江戸初期に保津峡を開削した豪商・角倉了以は、個人で社会インフラを整備した先駆者。その志は現代にまで受け継がれ、保津峡の観光や川を守り、自然と共存する亀岡の今の社会に根付いている。
- 地名や神社に刻まれた記憶
- 神代の時代に渡来系豪族が保津峡を切り開いた伝説が神社の由緒として現代にも伝わる。
- 亀岡の神社には「稲」「船」「鍬」など、かつての人々の営みを示す名前が数多く残されている。それらは単なる地名ではなく、土地の記憶と役割を継承するための物語の入り口。
- ナマズの神様が伝えるもの
- 桑田神社では、ナマズが溺れた神を助けたという伝承から、ナマズがご神体に。
- 完璧ではなく、失敗や弱さもある“人間くさい神様”が登場することで、信仰がより身近なものになる。
- ご縁が育てる地域のつながり
- 「神社掃除に参加したら友だちができた」「祭りで美味しいものを食べた」——そんな些細なできごとも、やがて「神社のおかげ」として記憶に残る。
- ご利益とは、数値で測れない“人と人のつながり”
- 神社は、単なる宗教施設ではなく、人と人、人と土地、人と過去をつなぐ“媒介”
- 社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の基盤として「ご縁」が重要視される。
- 歴史の積み重ねが支える環境政策
- レジ袋廃止や紙おむつリサイクルといった現代の取り組みも、実は2000年にわたる“水と生きる”文化的背景があってこそ。
- フランスの歴史家ブローデルの「長期波動」概念から考えると、その土地に流れる「長期的波動」に合った政策だからこそ、住民の共感を得て定着したと考えられる。
- 地場の深層文化に即した設計が必須。
- 亀岡の社会デザインとは
- コトラーのマーケティング3.0では、Mind(知性)、Heart(感情)に加え、Spirit(精神)への訴求が重視される。
- 亀岡のまちづくりはまさに、「文化資本」×「社会関係資本」×「信仰」が交差する社会デザインの実例。
亀岡編、いかがでしたか?
水とともに生きる2000年の歴史や地形、そして地域に根ざした神社や祭りとともに営まれてきたまちづくりの姿。
私たちが直面する現代の課題に対して、過去の営みが多くの示唆を与えてくれました。
文化資本や社会関係資本といった“目に見えない力”が、まちの持続可能性を支えているという構造は、他の地域にも応用できる、「町が持続する強さ」となり得ると感じています。
次回は、「丹後」へと舞台を移します。
丹後編では、交易や織物文化、そして“外とつながる力”をキーワードに、また異なる視点から地域の可能性を掘り下げていきます。どうぞお楽しみに!
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