エドノミーラジオ「テロワール編」 第2回配信
- On 2026年8月1日
〜「田舎くさい」が世界最高の価値になるまで。修道僧・王侯貴族・AOCの歴史〜
「テロワール」という言葉は、もともと「田舎っぽい」「中心から外れたもの」というネガティブな響きを持っていました。
それが今や、世界最高のワインを支える概念に。
何がその逆転を可能にしたのでしょうか。
第2回は、中世の修道僧から1935年のAOC(原産地呼称統制)、そして明治日本の苦い失敗まで。
テロワールが「価値」として社会に根づくまでの歴史をたどります。
🔍 今回の見どころ(聞きどころ)
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テロワールは、もともとネガティブな言葉だった
- 「田舎っぽいもの」という原義と、日本の「洛中/洛外」「都落ち」の感覚
- 中心から離れるほど劣ると見なす構図は、洋の東西を問わない
- その序列を「らしさ」の価値へ転換したのがテロワールの歴史
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畑の違いに最初に気づいたのは修道僧だった
- ミサでワインを扱い続けたシトー会・ベネディクト会の観察眼
- 数メートル離れた畑で味が違う──グラン・クリュの原点
- 日本の茶が栄西から教養文化へ育った歩みとの相似
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制度が価値を守る──AOCの誕生
- 産地偽装・粗悪品からブランドを守るための原産地呼称統制
- シャンパーニュ地方の条件を満たすものだけが「シャンパン」を名乗れる
- 雰囲気だけでは価値にならない。信頼を守る制度と結びついて初めて産業になる
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明治日本の教訓──信用は一瞬で失われる
- 欧州で飛ぶように売れた漆器・京焼に紛れ込んだ偽物
- 「偽物が多いから二度と輸入するな」と言われるまでの転落
- 先人の信用も、失うときは一瞬という戒め
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宇治・八女・静岡──日本茶のテロワール
- 宇治川の霧が直射日光をやわらげ、旨味を守る「天然の装置」
- 八女の谷地形と火山由来の土壌が生む濃厚な旨味
- 「おいしい/おいしくない」ではなく、地形と人の技が生む「らしさ」
🎧 番組要約
今回の対話の核心は、自然条件だけではまだ価値にならないという点にあります。土・気候・地形・霧・日照に、人の観察・言語化・制度・信頼・物語が加わって、初めてワインや茶や陶器の「価値」になる。中世の修道僧の観察がグラン・クリュを生み、王侯貴族の教養が権威を与え、AOCという制度が信用を守った──テロワールの歴史は、価値づくりの歴史そのものです。
裏返しの教訓として語られるのが、明治日本の漆器・京焼の失敗です。売れたのをいいことに偽物が出回り、産地全体の信用ごと崩れ去った。テロワール的な価値を持つ産業ほど、認証・品質管理・語りの整備が不可欠だということを、歴史が教えてくれます。
宮城・雄勝の祭りでは、神輿の担ぎ方そのもので波を表現するそうです。大波は棒を高く上げて走り、小波は足元で揺らす──漁師町の日常風景が所作に溶け込んでいる。テロワールは「上か下か」ではなく「らしさ」の問題である。地方や伝統を”遅れたもの”ではなく”次の価値の源泉”として見直す視点が、ここにあります
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